家畜のふん尿から新しいエネルギーを創出する技術を開発
~ 地球温暖化問題へのアプローチとしてメタル・ポリマーの製造・加工技術を応用 ~

2020年12月2日

  • 温室効果ガスの再資源化により、エネルギーの地産地消に加え、畜産業の発展を促し地域循環共生圏に向けた一助として貢献
  • メタル・ポリマーの製造・加工技術を用いた新しい触媒を開発し、家畜のふん尿から得られる温室効果ガスのLPガス化に成功
  • 地方自治体をはじめとする幅広いステークホルダーとの共創により、社会課題解決型事業の創出を促進

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一)は、地球規模の社会課題である温室効果ガス削減に向けて北海道大学との共同研究を進めており、この度開発した金属触媒の固定技術を応用し、バイオガスをLPガスに変換する技術の開発に成功しました。この技術を用いて、家畜のふん尿から得られる二酸化炭素とメタンから貯蔵・輸送しやすいLPガスを創出することで、一般家庭や酪農場などの産業の現場でエネルギーとして用いることができるほか、災害時用のエネルギーとしての利用も可能になります。本技術は脱炭素社会への貢献に加え、エネルギーの地産地消を促し、地域の新しい社会基盤の一助として地域循環共生圏の形成へも貢献できると考えています。当社は今後も、地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するソリューションを提案してまいります。

背景

当社グループでは、「古河電工グループ ビジョン2030」を掲げ、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した中長期的な企業価値の向上をOpen, Agile, Innovativeに推進しています。この度開発した触媒金属の固定技術を応用することで、家畜のふん尿から得られるバイオガスを原料に、貯蔵・輸送が容易なLPガスへ変換できる技術を開発しました。

内容

社会課題解決型事業の創出

本技術を用いた温室効果ガスの再資源化は、一般家庭や酪農場などでの利用に加え災害時用のエネルギーとしても利用できるLPガスを地産地消できるほか、家畜のふん尿の処理コストの低減や異臭・水質汚染といった畜産業が潜在的に抱える課題の解決にもつながる可能性があります。

Open, Agile, Innovativeに技術開発

当社グループは、これまでに培ってきたメタルとポリマーの製造・加工技術を新たな分野で活用すべく、技術の進化を進めています。本開発においては、畜産業において家畜のふん尿から得られるバイオガスに着目し、高効率で再資源化きる技術として、当社が開発したラムネ触媒™(注1)(ニッケルを触媒として使用)を使用することにより、従来、活性が低く短時間しか持続しなかった反応を大幅に改善しました。

(注 1) ラムネ触媒™
当社は、多孔質材料内部に金属触媒を固定することに成功しました。この触媒は従来の触媒の課題とされてきた耐凝集性・耐コーキング性を持ち、バイオガスから合成ガスが得られるドライリフォーミング反応において、高活性かつ長寿命な触媒となります。触媒が多孔質材料内部に固定される姿がラムネの瓶に似ていることから、ラムネ触媒™と名付けました。

今後は2023年までに小型試験機による実証、2025年までにフィールド実証試験を行ない、2030年の実用化に向けて取り組んでまいります。

多様なステークホルダーとのパートナーシップの形成

本技術開発は、北海道大学の増田隆夫教授との共同研究により、触媒の開発から、ビジネスモデルの検討までを、パートナーシップを形成することにより推進し、実現・成功いたしました。

当社では、北海道大学のほか、地方自治体など幅広いステークホルダーとのパートナーシップを通して、社会課題解決のための技術革新・事業創出を推進しています。

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」を基本理念に掲げて、4つのコア技術(メタル・ポリマー・フォトニクス・高周波)を軸に、事業活動をしています。さらに、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、当社グループの事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定し、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。

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