パワー半導体向け無酸素銅条の板厚精度を向上
~ カーボンニュートラルに向けた需要拡大の中、今年度は生産量も20年度比倍増へ ~
- パワー半導体向け無酸素銅条「GOFC®」の製造において、板厚の変動を従来比1/2に低減
- 結晶粒径を小さく抑えられる耐熱性とともに、パワー半導体の出荷検査の歩留まり向上に寄与
- カーボンニュートラルに向けた需要拡大の中、2022年度の生産量は20年度比倍増を目指す
古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:小林敬一)は、パワー半導体の基板用途で出荷数量を伸ばしている無酸素銅条「GOFC®」の製造において、板厚(0.25~2.0mmに対応)の変動を従来比1/2に低減しました。
これにより、パワー半導体の製造ロスの低減、出荷検査の歩留まり向上に寄与し、EVモータや電力送信、バッテリなどへの用途展開を通じてカーボンニュートラル推進に貢献していきます。
背景
パワー半導体は電気回路の電圧や周波数を変えたり、直流を交流、交流を直流へ変換したりする機能を持ち、例えばモータの回転を低速から高速まで高効率で制御する、太陽電池で発電した電気を無駄なく送電する、様々な家電や電気器具に安定した電源を供給するなど、カーボンニュートラルの実現に欠かせない部品です。
GOFC®は約800℃の高温熱処理後でも結晶粒径を小さく抑えられる耐熱性を有していることで、パワー半導体の出荷検査のバックグラウンドノイズなどを低減、検査感度が高まり、その信頼性向上につながっています。そのため、パワー半導体の基板用途において出荷数量を伸ばしています。
内容
パワー半導体の基板はセラミックスの両面に無酸素銅板を貼り付けた構造をしており、銅板貼り付け工程の熱によって基板に反りが発生することが課題でした。反りの原因の一つに両面の銅板の厚さの違いがあり、貼り付けた銅板の厚さにより温度変化に伴う表裏面への熱膨張・収縮の影響に差異が生じ、銅板貼り付け後の基板に反りが発生します。そこで当社では、リードフレーム(注)向け製品で培ってきた板厚制御技術のノウハウを活用し、GOFC®の板厚変動を従来比1/2に低減しました。これによりお客様の製造工程における歩留まりが高まり、パワー半導体製造におけるCO2排出量の削減に貢献することが期待されます。
なお、当製品は不純物を含まない無酸素銅(C1020)であり、お客様の加工途中で発生したスクラップもリサイクルすることができます。当社ではリサイクル工程において水力発電の電力を活用することにより、バリューチェーン全体のCO2排出量削減を推進するとともに、サーキュラーエコノミーの実現に向けた技術開発を進めています。
また、カーボンニュートラルに向けてパワー半導体の需要が拡大する中、当社での22年度のGOFC®の出荷量は20年度比約2倍の月間50トン以上を見込んでおり、今後も更なる増産要求に応えられるよう生産体制を整えてまいります。
(注)
リードフレーム:半導体チップを搭載し、チップと外部回路を電気的に接続と放熱を行う部品。
SOP、QFP、QFNなど多数のパッケージ種類がある。
関連ニュースリリース
『GOFC』は日本における古河電気工業株式会社の登録商標です。
古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
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