トカマクエナジー社への1,000万ポンドの出資契約を締結
~ 核融合エネルギーの推進に向けてパートナーシップを強化 ~

2024年1月18日

古河電気工業株式会社
スーパーパワー社

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森平英也)は、トカマクエナジー社(Tokamak Energy Ltd.、本社:英国オックスフォード、CEO:Warrick Mathews)に対する約1,000万ポンドの出資を行うための新株引受契約を締結しました。また、出資に付帯して覚書(本覚書)を締結し、これにより、商用核融合エネルギーの推進に向けて同社とのパートナーシップを強化します。

核融合は、世界各国で安全でサステナブルなエネルギー源として期待が高まっています(注)。当社グループは、古河電工グループ ビジョン2030(以下、ビジョン2030)において、地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤の創造を目指すことを掲げています。当社の金属をはじめとする素材に関する知見を生かして超電導線材などの製品を開発・供給し、環境・エネルギー問題を根本的に解決する究極のエネルギーと呼ばれる核融合エネルギーの実現に寄与することは、ビジョン2030の達成にも通じます。
商用核融合炉の実現にあたっては、燃料プラズマをコンパクトに凝縮し、炉内に効率よく閉じ込めるための超電導磁石が欠かせません。当社は、超電導磁石の巻線に用いるニオブ系低温超電導(LTS)線材を日光事業所で長年にわたり開発・製造してきました。このLTS線材は、フランスの国際熱核融合実験炉(ITER)や国内の臨界プラズマ試験装置JT-60SAなどの超電導磁石にも採用されています。
トカマクエナジー社は、独自設計による超高磁場・超電導磁石で構成した小型核融合炉を英国原子力庁(UKAEA)などに提案しています。当社グループ会社のスーパーパワー社(SuperPower Inc.、本社:米国)で開発・製造しているイットリウム系高温超電導(HTS)線材は優れた高磁場特性を有し、トカマクエナジー社の小型核融合炉の開発に貢献してきました。さらに、当社とスーパーパワー社は、核融合炉の建設に必要な数百キロメートルにおよぶHTS線材の今後のトカマクエナジー社への供給計画に関し、2022年5月に最初の覚書を取り交わしました。
新株引受契約・本覚書締結により、3社の小型核融合炉の開発体制を強化するとともに、医療・創薬・宇宙航空・次世代交通などの分野で今後重要となる高磁場電磁石の開発と製品化においても、共同でマーケティングや研究開発を推進します。
当社とスーパーパワー社はトカマクエナジー社とともに日本を含む新たな市場を共同で開拓し、HTS線材およびそれを応用したHTS磁石の高性能・高信頼化に向けた研究開発を進め、それぞれの分野におけるグローバルなリーディングカンパニーとしての地位をさらに確固たるものにしてまいります。

当社社長 森平英也のコメント:
戦略的投資としてトカマクエナジー社の株主になれることを嬉しく思います。同社の小型核融合炉は英国をはじめ海外各国での評価も高く、そこに当社の超電導技術が貢献できることは大変喜ばしいことです。日本においても、文部科学省がタスクフォースとして推進するムーンショット型研究開発目標の一環で核融合エネルギーを開発テーマに追加すると決定したことを考慮すると、私たち双方にとって多くのチャンスが生まれつつあると考えます。

トカマクエナジー社CEO Warrick Mathews氏のコメント:
古河電工がトカマクエナジーへの重要な出資者となることで、同社との関係がますます強くなることを嬉しく思います。力を合わせてHTS線材の研究開発に取り組むことで、核融合エネルギーの商業化に至るまでの課題をより迅速に乗り越えていけるようになり、当社のHTS磁石ビジネスにさらなる市場機会が創出されることを期待しています。

当社とスーパーパワー社について

1884年の創業以来、古河電工グループは当社をはじめ世界中に127のグループ会社と約50,000名の従業員を有し「メタル」、「ポリマー」、「フォトニクス」、「高周波」の4つの技術力を核として、情報通信やエネルギーなどのインフラ分野や自動車部品分野、エレクトロニクス分野へ多岐にわたる技術・製品・サービスを世界中に展開しています。
スーパーパワー社は2000年3月の創業以来、高エネルギー密度や高磁場または環境に優しい特性が重視される、エネルギー・医療・交通・研究等のセクターを含む各種用途向けのHTS技術の開発と製品化を行っています。

トカマクエナジー社について

トカマクエナジー社は、英国のオックスフォード近郊に本拠を置く、世界をリードする商業核融合エネルギー開発企業であり、球状トカマクおよびHTS磁石の複合開発を通じて、商業核融合の世界展開を追求しています。
2009年にCulham Center for Fusion Energyからのスピンオフとして設立され、現在、英国の才能ある人材と世界中の専門家からなる220人以上のチームを有し、世界をリードする科学、工学、産業、商業の能力を兼ね備えています。
同社には70ファミリーの特許出願があり、個人投資家から2億ドル、英国および米国政府から5,000万ドルの合計2億5,000万ドルを調達しました。実現すれば、核融合エネルギーはクリーンかつ低コストで、世界規模で展開可能になります。これは、世界のエネルギー需要と気候政策の目標を達成するための重要な要素です。

高温超電導(HTS)磁石組み立ての様子

(注) 核融合は発電用途においてける3つの利点により安全でサステナブルなエネルギー源とされています: ①二酸化炭素を発生しない。②主燃料である重水素は海水中に豊富に含まれているため、安全で枯渇する心配がない。③燃料供給の停止後は速やかに反応が終息するため暴走のリスクがない。

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古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。

ニュースリリースに記載されている情報は、発表日現在のものです。仕様、価格、サービス内容などの情報は予告無しに変更される場合があります。あらかじめご了承ください。

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