JR東海と古河電工が共同開発 鉄道台車向けレーザブラスト技術「インフラレーザ®」の運用開始
~ 探傷試験前の塗膜除去時間を短縮、試験品質向上 ~
東海旅客鉄道株式会社(代表取締役社長:丹羽俊介、以下JR東海)は在来線における鉄道台車の探傷試験前の塗膜除去作業において、古河電気工業株式会社(代表取締役社長:森平英也、以下古河電工)のインフラ構造物向けの表面処理ソリューション「インフラレーザ®」を採用し、2025年6月より運用を開始いたしました。本技術は鉄道台車の探傷試験の品質向上を目的に、両社で実用化に向けた共同開発を行い、作業面においても作業時間の大幅な短縮を実現しました。
開発背景(別紙1、2)
- 鉄道台車に傷等があると、脱線等の重大事象に繋がる恐れがあるため、台車の傷の有無を確認する探傷試験は、鉄道車両の検査において非常に重要な作業です。
- 探傷試験(磁粉探傷法)を実施するにあたっては、台車表面の傷を確実に検出するために、表面に施されている塗膜を除去する前工程がありますが、在来線においては、従来は振動工具による機械的な塗膜除去作業を行っていました。
- 従来の機械的な塗膜除去作業の課題として、塗膜除去が不十分であることから表面に傷の疑似模様が現れ、磁粉探傷法による傷の良否判定に時間を要することに加えて、長時間の手元での強い振動(15m/s2)、大量の粉塵発生による作業者負担といった点がありました。
- 探傷試験の品質を向上させつつ、作業環境の安全性・快適性を高めるために、JR東海と古河電工は鉄道台車向けのレーザブラスト技術(注)において共同開発を行いました。
(注)レーザ光の高エネルギーで対象物の表面にある錆や塗料、汚れなどを非接触で除去する技術
開発内容
古河電工の「インフラレーザ®」は、金属表面の塗膜や錆を非接触で除去するレーザブラスト技術です。今回の共同開発で採用した面照射方式でのレーザブラスト技術には以下の特長があります。
- 非接触・高品質
金属表面を傷つけずに塗膜除去が可能で、磁粉探傷法の欠陥検出精度を向上させます。 - 低熱影響設計
レーザ光を面で照射することにより、一点に熱が集中しないことで、台車部材への熱変形や組織変化を防止します。 - 作業時間の低減
高効率除去のインフラレーザ®により、塗膜除去時間が従来比約80%短縮しました。
2023年2月~2025年5月
- JR東海 :
鉄道台車の塗膜剥離に適した機能・性能要件の提言
鉄道台車における適用試験・評価 - 古河電工 :
レーザシステム開発、塗膜除去技術開発
- 探傷試験精度の向上(塗膜除去による表面傷の発生なし)
- 振動:従来工法15m/s2→ゼロ
- 粉塵の発生なし
- 作業時間:従来比約80%短縮
「インフラレーザ®」は古河電気工業株式会社の登録商標です。
古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
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