原英和

概要

食品の包装などに用いられる複層フィルムはリサイクルされることなく,焼却,埋立処分されるか,もしくは流出しプラスチックごみ問題の元凶となっている。このような複層フィルムに対し,当社で開発した紙による繊維強化技術(APFUTM;Advanced Paper Fibre Upcycling Technology)を適用することで,高強度プラスチック材料へとアップサイクルすることに成功した。この材料を用いて,射出成形により当社製品やボールペンを,多層ブロー成形によりボトルを成形することができ,さらに3Dプリンタの材料に用いることも可能であった。またライフサイクルアセスメント計算により焼却に比べ温室効果ガスの排出量が大幅に抑えられることも確認した。プラスチックごみによる海洋汚染の防止ならびに気候変動の抑制に貢献するため,現在は本技術の実用化へ向け,日欧の企業,自治体,アライアンス団体と協働し,実証実験やフィージビリティスタディを進めている。

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