3,000万経路を高速処理する仮想ルートリフレクタ「vFX-R」を発売
〜 仮想アプライアンス製品でハードウェアやライセンスを自由に選択・拡張可能 〜

2021年3月31日

  • 汎用サーバ上で動作する仮想ルートリフレクタアプライアンス「vFX-R」を発売
  • 独自のマルチスレッドBGP(Border Gateway Protocol)で3,000万経路の高速配信を実現
  • ハードウェアやライセンスを自由に選択することで、大規模から中小規模までのニーズに対応

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一)は、既存の仮想ネットワークアプライアンスFITELnet® Vシリーズをベースに、ルートリフレクタ(注1)専用装置であるFITELnet® Rシリーズで培ってきた機能を組み込んだ、仮想ルートリフレクタアプライアンス「vFX-R」を3月より発売しました。

独自のマルチスレッド(注2)BGP(注3)により、3,000万経路の大規模ネットワークの高速配信を実現し、安定性強化と運用コスト削減に貢献します。また、ニーズに合わせてハードウェアやライセンスを自由に選択・拡張できるため、スモールスタートなど最適な規模の投資コストでネットワーク構築が可能です。

FITELnet® Vシリーズロゴ

背景

大規模なネットワークを構築・運用している通信事業者にとって、網の拡張性や安定性の確保は必須となっています。これまで通信事業者のバックボーンネットワークでは、BGPをフルメッシュで構築することによる通信網全体のパフォーマンス低下(BGPフルメッシュ問題)に対処するために、BGPセッションを集約するルートリフレクタを導入し、各ルータが保持すべきセッション数を減らすことで負荷を軽減していました。
しかしながら、5GやIoTの普及など、昨今の網の拡大に伴う経路数の増大や接続されるルータの増加により、従来のルートリフレクタでは拡張性・安定性において対処が難しくなっており、更なる規模拡張性と性能を持つルートリフレクタが求められています。また、中小規模のネットワーク環境においても、構築時からルートリフレクタを導入しておくことで、将来的なサービスの拡大時にBGPピア(注4)の増加によるネットワークのパフォーマンス低下を避けることができるメリットがあるため、利用が検討されてきています。

BGPフルメッシュ問題

内容

古河電工は、FITELnet® Vシリーズで培った仮想化技術と、通信事業者での10年以上にわたる安定稼働の実績を持つルートリフレクタ専用装置FITELnet® Rシリーズで培った機能・技術を融合し、新たに仮想ルートリフレクタアプライアンス「vFX-R」を開発しました。主な特徴は以下の通りです。

BGP 3,000万経路配信に対応

独自のマルチスレッド対応BGPの実装により、規模拡張性と高速性が大幅に向上しています。BGPで学習した経路を他のBGPルータにアドバタイズするルートリフレクション動作が国内通信事業者の最大規模のサービスで取り扱う経路のおよそ2~3倍に相当する3,000万経路配信でも高速処理可能になり、サービスの安定性強化と運用コスト削減を支援します。

ハードウェアとライセンスを自由に選択可能

仮想アプライアンス製品のため、ハードウェアを自由に選択・拡張できます。また、ライセンスは、インターネットサービス網での利用を想定した「Basic(v4/v6)」ライセンスと、通信事業者が構築するVPN(Virtual Private Network)サービス網での利用を想定した「VPN」ライセンスを用意しており、用途に応じて選択でき、スケールオプションも用意しています。ネットワークの規模やニーズに応じた投資が可能となり、初期費用を抑えたスモールスタートでサービスの成長に合わせてスケールアップしていくことも可能です。

ライセンス種類

これからのネットワークに求められる最新技術との連携により利用領域が拡大

EVPN(注5)やSegment Routing(注6)などの最新技術と連携することで、データセンタ事業者やクラウド事業者での利用も可能にします。

「vFX-R」 ユースケース

通信事業者のバックボーンネットワークにおけるインターネットサービス網やVPNサービス網で、BGP経路を集約する際に「vFX-R」を利用することができます。これにより、各ルータが保持すべきBGPセッションの数を減らすことで、各ルータにかかる負荷を軽減し、サービスの安定性強化と運用コストの削減を支援します。

vFX-Rの利用箇所

「vFX-R」 製品サイト

製品に関するお問い合わせ先

用語解説

(注 1)ルートリフレクタ:
経路情報を交換するためのBGPのコネクションを集中管理する装置。各ルータにかかる負荷を低減し、ネットワークの管理を容易にする。

(注 2)マルチスレッド: アプリケーションのタスクを複数のスレッドに分けて並行・並列処理する方式。マルチスレッド化の大きな利点の1つとして、並行・並列処理によってアプリケーションの処理が高速になることが挙げられる。

(注 3)BGP(Border Gateway Protocol):
ルーター・ネットワーク上での最適経路を計算するために必要な経路情報をやり取りするルーティングプロトコルの1つ。

(注 4)BGPピア:
BGPにより経路交換を行う接続相手のこと。

(注 5)EVPN(Ethernet VPN):
IPバックボーンネットワークを介して、異なるレイヤー2ネットワークを結ぶイーサネットVPN技術。

(注 6)Segment Routing:
パケットヘッダに付加したルーティングポリシー情報に基づいてパケット転送するソースルーティング技術。

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」を基本理念に掲げて、4つのコア技術(メタル・ポリマー・フォトニクス・高周波)を軸に、事業活動をしています。さらに、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、当社グループの事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定し、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。

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