世界初Co-Packaged Optics向け外部光源を開発
~ データセンタにおける次世代ネットワークスイッチ装置の実現に貢献 ~

2022年3月7日

  • 次世代データセンタの実現に必要不可欠なCPO向け外部光源を世界で初めて開発し、OFC2022にて展示
  • 2022年4月からサンプル出荷を開始
  • 大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献

古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:小林敬一)は、データセンタにおける次世代のネットワークスイッチ装置に導入されるCPO(Co-Packaged Optics)に必要とされる外部光源(ELS: External Light Source)を世界で初めて開発しました(注1)。本製品は世界最大の光通信の国際会議OFC2022の展示会に出展されます。

背景

クラウドサービスや5Gなどの新しい情報通信サービスの普及にともない、通信トラフィックは増大し続けています。さらなるビッグデータを処理するハイパースケールデータセンタおよびBeyond 5Gに必要とされる低遅延を実現するエッジデータセンタにおいては、使用されるネットワークスイッチ装置(図1)の大容量化と消費電力の削減が課題となっています。
現在、ネットワークスイッチASIC(Application Specific Integrated Circuit)の容量は25.6Tb/sに達していますが、さらに大容量の次世代版51.2Tb/sの導入に向けては、装置内の電気配線の一部を光に置き換える新しい装置アーキテクチャであるCPOの導入が期待されています。これにより通信速度の向上及び30%以上の大幅な消費電力削減を期待できます。なお、CPOは、IOWN構想(注2)において光電融合の第1フェーズと位置付けられています。
CPOでは、一枚の基板の上でスイッチASICの周りに高密度にシリコンフォトニクス光トランシーバが実装されます。スイッチASICの発熱により化合物半導体であるレーザ光源をシリコンフォトニクス光トランシーバに搭載すると、高温環境で駆動することになり、特性が劣化して信頼性にも影響します。ELSは熱による特性劣化などを避けるため、レーザ光源を光トランシーバから離して、環境温度が低い躯体の外部にあたるフロントパネルに移動させたものです。光は多芯偏波保持ファイバケーブルによってELSから光トランシーバに供給されます。(図2)

内容

当社はこの度、高出力化合物半導体レーザと光パッケージングの技術を活かし、光トランシーバ用に標準化されているQSFP(Quad Small-Form Factor Pluggable)を用いて、世界で初めてとなるELSの開発に成功しました。QSFP ELSを筐体のケージに挿入することで動作するホットプラガブル(注3)に対応しています。また、8芯の偏波保持ファイバコードを用いたピグテイルによりCPO用光トランシーバへ直線偏波を供給でき、ファイバ端末はMPOコネクタがついています。
8芯それぞれの光源波長には2つのオプションがあり、1311nm(Oバンド)またはCWDM(Corse Wavelength Division Multiplexing)に準じた4波長(1271nm、1291nm、1311nm、1331nm)を2波ずつ出力することができます。動作ケース温度範囲は0ºC~55ºCで、チャンネル当たりの光出力は100mW以上です。
なお、本製品は2022年4月からサンプル出荷、2023年末から量産開始を予定しています。
当社は、CPOの導入に必要なELSの提供を通して、大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。

図3 ピグテイル付QSFP ELS

主な仕様

特性 仕様値
チャンネル数 8
動作ケース温度 0℃~55℃
波長 オプション1: 1311nm(Oバンド)x 8
オプション2: 4-λ CWDM x 2
光出力 >100mW/channel
偏波消光比 >20 dB(Slow軸)

(注 1)当社調べによる。

(注 2)IOWN構想:IOWNは「Innovative Optical and Wireless Network」の略。光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供できる端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想。

(注 3)ホットプラガブル:機器の電源を入れ稼動状態を保ったまま、部品やケーブルなどを交換、装着、抜去すること。稼働中の装置に、ELSを装着すると自動的に駆動され、各チャネルから所定の光出力が得られる。

古河電工グループのSDGsへの取り組み

当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。

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