次世代加工技術の未来を拓くファイバレーザ

アルミ合金および純銅の重ね溶接

材料の切断や溶接、穴あけなどの加工用途には、レーザ光を用いるレーザ加工技術が広く用いられている。従来、板金切断用途には炭酸ガスレーザ、溶接用途にはYAGレーザが用いられることが多かった。

しかしファイバレーザの高出力化・加工技術開発が進んで、近年では炭酸ガスレーザ厚板切断及びYAGレーザ溶接の領域であったアプリケーションにも対応できるようになった。切断・溶接品質が同レベル以上になってくると、これまで用いられてきたレーザに比べて、(1)複雑な光学的系が不要でメンテナンスが容易、消費電力が少ない。よって維持費が抑えられる(2)大規模な冷却装置が不要でコンパクト(3)ビーム品質が良く高速加工、深溶け込みが可能といった点ですぐれているファイバレーザでの置き換えが急速に進んできている。

ファイバレーザの構想は1960年代からあったが、その出力が実用化レベルに至ったのは、光通信におけるファイバ技術、光部品技術、半導体レーザ技術などの要素技術が進展したことが大きい。古河電工は光通信で培ったさまざまな先進技術をファイバレーザに展開し、ファイバレーザの開発においても国内パイオニア企業として早くから取り組んできた。

ファイバレーザの要素技術

古河電工グループが光通信分野で培ったコア技術を応用してファイバレーザの開発・製造を行っている。

ファイバレーザは、光を増幅する媒体・共振器がファイバで構成されているため、光軸調整が不要でかつ安定した出力が得られる。下はファイバレーザの基本構成である。ファイバレーザの高出力化はこの基本構成の伝送用ファイバ複数本をさらに束ねて行われる。

ファイバレーザの基本構成

古河電工のファイバレーザは、励起光源、増幅媒体、発振出力の各要素技術において、世界トップレベルの技術を導入することにより、高出力、高効率なファイバレーザを実現している。さらにすぐれたビームコントロールで高品質な切断面、溶接を提供できることからも多くのお客様に選ばれている。

レーザを出力する部分にファイバーレーザを使用し、
産業用ロボットのアームの先端に
レーザー出力部を取り付けたレーザ加工機

古河電工千葉事業所にアプリケーションラボを常設し、お客様のご要望に応じてサンプル加工を行っている。

ファイバレーザの開発、量産化に関わってきた古河電気工業の新事業推進部産業レーザシステム部、茅原崇(かやはらたかし)は次のように語った。
「現在、薄板の加工に適した500W/1kWシングルモードファイバレーザ、厚板まで対応できる4kW/6kWのマルチモードファイバレーザをラインナップし、ファイバレーザ加工機を製造するメーカーに納めています。2008年当時の通信用の出力100Wから出力を高めていき、2011年には日本で初めて300/500W級の量産を開始しました。出力を高めていく開発段階では、発熱により接続部が燃えてしまったり多くの困難がありましたが、目標出力をクリアしたとき、初めての製品が納品された時には、国内外のグループ会社も含めたメンバーからなるチーム全員で喜び合いました。
古河電工のファイバレーザは主要な構成部品を古河電工グループで内製化しており、その総合力で課題をクリアしてきました。これからも安定した製品供給と保守対応で、お客様のものづくりに貢献していきたいと思います。」

ファイバレーザについては、以下Webサイトにて詳しくご紹介しております。
カタログPDFファイル

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