従来比半分以下の費用で接続可能な多心光コネクタを開発
〜サーバの性能向上を支える光インターコネクトの導入を容易に〜
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株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:富田達夫、以下 富士通研究所)と古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柴田光義 、以下 古河電気工業)は、サーバ機器内の高速データ伝送を実現する光インターコネクト(注1)向けに、多数の光ファイバを一括で接続する多心光コネクタを共同開発しました。
従来、光ファイバの接続にはファイバの先端をそろえるための高精度な研磨加工が必要ですが、研磨に要するコストが大きいという課題がありました。今回、光コネクタ接続時にコネクタ内部で光ファイバの長さの違いを吸収するバネ機構を開発し、研磨加工を不要とすることにより、従来手法の半分以下の費用で光ファイバを接続することに成功しました。
今回共同開発したコネクタは従来と同程度の性能を実現しており、サーバ機器内への大容量の光インターコネクトの導入が容易となります。この技術を用いることで、サーバの性能向上を支えるボード間データ伝送の性能向上が期待できます。
本技術の詳細は、2014年2月1日(土曜日)から米国サンフランシスコで開催の国際会議「SPIE Photonics West 2014」にて発表します。
開発の背景
近年、サーバの処理能力向上にともないサーバ内部のデータ伝送量は増加しており、CPU間やCPU・メモリ間では25Gbps以上といった高速な伝送速度が要求されています。光を用いないこれまでの電気配線方式では、高速化に伴って、信号の減衰による劣化が大きくなるため、ボード間のような短い距離でも伝送が難しくなってきています。このことから信号劣化の小さい光ファイバを用いてデータ伝送を行う、光インターコネクトが注目されています。
サーバ機器内部のボード間に光インターコネクトを導入するためには、光信号を並列に伝送する複数の光ファイバ同士を一括して接続する多心光コネクタが多数必要となります。しかし、大量に使用するためには価格が高く、機器内部への光インターコネクト導入の課題となっていました。
課題
従来の多心光コネクタでは、コネクタに光ファイバを固定した後に、高精度の研磨を行って端面を形成することで、複数の光ファイバの端面をそろえていました。こうすることで、光ファイバ同士が隙間を生じることなく接触し、低損失で接続できますが、研磨は光コネクタごとに行うため、費用がかかりすぎていたことが課題でした。そこで、費用のかかる研磨を行わなくても低損失で接続できる簡易な光コネクタの実現が期待されていました。
開発した技術
今回、富士通研究所の設計技術と古河電気工業の製造技術を活かし、サーバ内で利用できる簡易構造の多心光コネクタを開発しました。今回、開発した技術の特長は以下のとおりです。
- 光ファイバの接続時にわずかに変形するバネ機構を形成した光コネクタを新たに開発しました(図1、2)。これにより長さがばらついている光ファイバを、光コネクタの変形により長さに応じて微小にたわませることで、すべての光ファイバの端面をそろえることが可能となります。
- 光ファイバの端面をレーザ加工で形成することで、研磨と同様な端面形状を実現し(図1)、光ファイバ同士を隙間なく接触することが可能となります。
以上の技術を組み合わせることで、研磨工程を用いることなく、従来の多心光コネクタと同等の低損失(0.2 dB以下)で光ファイバ同士の接続を実現しました。
効果
開発した光コネクタは、費用がかかっていた研磨工程が不要となり、従来の半分以下の費用で、従来と同等性能を実現します。光コネクタをボードに設置する際には、富士通研究所と古河電気工業が合わせて開発している、少ないスペースで4つの光コネクタを収容可能な光コネクタハウジング(注2)を用いると、最大96本のファイバの接続が可能です(図3)。
今回開発した技術により、サーバ機器内のボード間で光インターコネクトを安価に使用することができ、将来のサーバ機器の高性能化を実現できます。
今後
富士通研究所と古河電気工業は、2016年頃のサーバ機器適用を目指して開発を進めます。また、サーバ機器内に限らず、ラック間を接続する光ケーブルなど様々な用途への展開を図ります。
商標
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
(注1)光インターコネクト :
従来の電気配線ではなく、光配線で接続することにより高速、低ノイズ化が実現可能な技術。
(注2)4つの光コネクタを収容可能な光コネクタハウジング;広帯域50Tbpsを実現する光インターコネクト技術を開発。
(2011年11月9日プレスリリース 「広帯域50Tbps を実現する光インターコネクト技術を開発」)